こんにちは、八坂です。
夏休みに入った初日、8月6日に日帰りで越後妻有を訪れました。
新幹線で1時間10分、朝ご飯を食べているうちに越後湯沢駅に到着。
そこからバスツアーの開始です。
ツアーの起点になるのは十日町駅。関東の感覚で隣町はすぐにつくのかと思いきや、40分ちかくバスで揺られました。というのも、東京23区と同じくらいの広さの地域にアート作品が点在しているとのこと。その規模をはかりかねていました。
地方での芸術祭というと瀬戸内国際芸術祭が有名ですが、こちらの越後妻有も芸術祭での地域興しとしてのプロジェクトは1995年に立ち上がったそうです。当時は住民の賛同もなかなか得られなかったようです。
【棚田】
ロシア出身のアーティスト夫婦であるイリヤ&エミリア・カバコフの「棚田」は、農作業をする農夫の彫刻を実際に棚田に置いた作品だ。展望台に掲げられている詩を透かすように見ることで、詩と彫刻、棚田が融合した立体絵本のような美しい情景が広がる。
この棚田を耕作している農家の福島氏に「アート作品を置かせてほしい」と最初に頼んだ時、丁重ながらきっぱりと断られた。そこで、北川氏率いるアートフロントギャラリーのスタッフは、日本の農業について書かれた書籍をロシア語に翻訳してカバコフ氏に送り続けた。
そして、カバコフ氏が日本の農業の実態を理解してつくった設計図を持参し、再度福島氏に説明に行くと、納得してくれたという。ただし、「体調が悪くて耕作を続けられないので、1年だけ」という条件だった。
しかし、「棚田」が多くの人に感動を与えるのを目の当たりにした福島氏は元気をもらい、その後7年間も棚田を耕作して、作品を置かせてくれたという。地元の人の心情を理解し、その心に寄り添うようにつくられた作品だからこそ、見る人に感動を与え、それがまた協力者を元気にしている。
(Business Journal より引用)
以前、瀬戸内国際芸術祭にも訪れて直島に二泊したことがありました。家プロジェクトは、古民家をそのまま利用してアート作品にしたものでしたし、ベネッセが管理しているスペースには著名な海外アーティストの作品群がありました。その時でもずいぶんと連絡船がなくなる夜になると、静けさと島に住む人々の暮らしだけが感じられるもので、地域興しとしてのプロジェクトとしては面白いものだと感じたのですが。越後妻有では、ベネッセのような大きな企業があまり目立たず、地域の人の協力と「こへび隊」というサポーターの方々の働きが大きく、より現地の方々に近づけたような気持ちになりました。
お昼に立ち寄った食堂も、お母さんたちの手作りご飯です。秋になれば山菜の天ぷらも楽しめますよ、とのこと。それに、魚沼産コシヒカリのご飯です。とてもおいしかったです。
【最後の教室】
廃校となった小学校が舞台です。ここは体育館。窓をふさいで暗くした館内には、床には干し草が敷かれ、扇風機が首をふるベンチが配置されています。子ども達がいた頃のざわめきと、その不在を表現したもの。さながら、体育館はざわめきの舞台なのでしょうか。
途中、校舎を巡っていくと暗闇に中から心臓の鼓動音が聞こえる部屋がありました。今おもうと、聞いているうちい自分の鼓動も早まるようでしたが、小学生の心拍数に合わせていたのでしょうか。暗がりと大きな心音が、不在を強調していたようです。
3階に上がると、白一色の世界。雪に閉ざされた風景のようにも見えます。
この作品を守っているのはやはり地元の方。「一人でここで番しているの怖くないですか?」と誰かが聞いていましたが「そりゃ怖いよ」とのこと。最近は海外からの観光客も多く、先日の落雷で停電した時は悲鳴が鳴り響いたそうです。
そして、今回の最も楽しみにしていた【たくさんの失われた窓のために】
内海昭子さんの作品
部屋の窓から見える風景は「私の風景」となる。窓から見える風景を通して外に広がる妻有の風景をもう一度発見するための窓。揺れるカーテンは風を映す。作家は妻有を来訪した際、妻有の自然に圧倒されたという。自然を邪魔することなく慎ましく咲く花のような作品を目指した。たなびくカーテンは、作品を訪れる人びとの心に陽の光や里山の風のそよぎを届けた。
このほかたくさんありますが、段々とくたびれて印象が薄くなってしまいました。
一日では回りきれない作品群です。私も妻有ファンになってこれからも通おうかと思いました。ご興味ある方はホームページをご覧ください。